よかったです。
ヒューマンドラマとしても、社会風刺作品としても。
ヒューマンドラマとしては、貧困に苦しみながらも、自分の身近な人間関係を大切にすることで、心は豊かに生きていけることを見せてくれた。やっぱり身近な人との繋がりは大切ですね。
近年度々世間を騒がせる「無敵の人」による凶悪事件も、誰とも人間関係を築けず、孤独に毒された人によるものだと認識してます。ダニエルのように、アパートの隣人、たまたま役所で知り合った人などと関係を深めるよう自発的に少し行動するだけで、孤独は癒やされるかもしれないと思わせてくれる。
社会風刺としては、なんといっても格差社会の描写ですよね。イギリスはかつては世界の大国だったが、年々衰退し、政府の予算も無くなり、さらには人口減と経済不況で右肩下がりの社会がこれからも続くこと間違いなしという、私たちの日本とかなり似通った社会状況の国。当然行政の様々な面でコストカットを進めざるを得ず、弱者のための福祉が徐々に機能しなくなりつつあるという、現代社会の難問を描いています。本当に経済成長と人口維持って国にとって死活問題だと感じさせる。。。日本なんて下手したらこのイギリスより悪い状況かもしれないですからね。
とまぁ長々と書きましたが、ヒューマンドラマ/社会風刺の見事な表現をしみじみと噛み締められる良作です！
