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メーテルレジェンド 交響詩 宿命 第一楽章のtakのレビュー・感想・評価

3.3
「銀河鉄道999」は他の松本零士作品と関連がある。それぞれを読んでいた当時は、関係を感じさせるひとコマを見て、そうだったのか!と驚いたり感動したり。OVAとして発表された本作はメーテル、エメラルダス、女王プロメシュームとの関係を描いた「銀河鉄道999」の前日譚。

長大な楕円軌道をもつ惑星ラーメタルは、太陽に近づく期間がわずかしかない。人工太陽にも限界があり、寒さに凍えて滅びを待つばかりであった。生き延びるために機械の身体になり、国民にも機械化手術を受けさせることを選んだ女王。しかしその裏には機械人間ハードギアの陰謀があった。女王の2人の娘は陰謀に立ち向かうことを決意する。

本編となる各作品への思い入れが強い人向き。「999」本編を知らずに、時系列で「メーテルレジェンド」を最初に見ると「999」のミステリアスな面白さが半減してしまうだろう。だがオールドファンが本作前後編を観て、劇場版「999」第1作を再度観ると、感慨深いものがあるに違いない。

前編はラーメタルの人々が機械化を選択せざるを得なかった事情が語られる。自ら滅びる選択はできないだけに、確かに仕方なかったのかもしれない。しかし、機械が体内で自己増殖を始めて、プロメシュームの身体から人間としての感覚や感情が失われていく過程が見ていて辛い。生身の人間が次々と命を奪われていく様はホロコーストと重なって見える。

メーテルと言えばあの黒服なのだが、その白服で登場するのも印象的。二人の娘を助ける老人はヤマトの沖田艦長を思わせるキャラデザイン。老人が造る光線銃は、"戦士の銃"コスモドラグーンの原型。

10代の頃、松本零士の描く女性を何度も描く練習した。特にあの眼を描くのに力が入るから、自分で描くと眼が大きくなりがちでバランスが悪い。スッとしたあの顔にならなかったっけ。ディスする気持ちはないけれど、本作のメーテルとエメラルダスの作画も眼がデカいw。でも眼をちゃんと描いてこそ松本作品の女性なのだよ。
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