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ウインド・リバーのkekqのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.8
ラスト一行のキャプションに戦慄する。

死がすぐそこにある極寒の地で繰り広げられる残酷な物語。アメリカが抱えた歴史的なカルマを生々しく伝える描写がとても重く響く。

主人公含む強く正しい人たちだけでなく、むしろ弱さに飲み込まれ道を踏み外した人間たちに同じくらいフォーカスがあたっているのが素晴らしい。
安全で快適な暮らしに慣れ切った私たちはこの映画の悪人の心情の方が近く、想像を絶する世界に放り込まれたときに未来への希望も人間的な心も簡単に崩壊してしまうことがむしろ正常に感じてしまう。

ステレオタイプなアメリカとはかけ離れた強烈な負の側面を見せつけられたが、本当にこれはアメリカだけのことなのだろうか?
いまぬくぬくと暮らしているこの家から少し離れた場所にも、限りなく近い世界はきっとある。

細部の描写のこだわりも強く感じる良作だが、ハンターの銃の抱え方とFBIの銃の連射っぷりに妙なリアリティがあってなんだかすごくよかった。
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