ウサミ

ドラゴン・タトゥーの女のウサミのレビュー・感想・評価

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)
4.3
めちゃくちゃ味のする映画でした。
緊張感と興味が持続し、没入することのできるミステリーでした。
人物名の羅列とやや足早な展開は人の好みを分けそうな所ではありますが、キャラクターの魅力は丁寧に細やかに作り上げるので、テンポ感ときめ細やかさが同居した見事な映画となっていました。

作品の推進力を担う、リズベットの魅力が凄まじい。
ルーニーマーラの尖り切ったルックスが、死ぬほど可愛く愛おしく美しく見える不思議。作品のエネルギーであり、清涼剤であり、個性である、それが「ドラゴン・タトゥーの女」な訳でありました。

ミステリー自体は名前が出まくるうえ推理シーンを観客と共有してくれないのでやや不親切ではあるが、意味不明ながらも猟奇的な事件にドンドン引き込まれてしまう異常性は、同監督の『セブン』を思い起こさせるものでした。

フィンチャー監督は人間の嫌な部分や知りたくない部分も含めて大胆に描くから素晴らしい。
意外と人の描き方に真摯で、細かい仕草をちょろっと入れるのめっちゃいいっすね。
「サンドイッチ?」とか。
「もうちょっと触ってて」とか。

『ソーシャルネットワーク』では天才の孤独と悲哀を。『ゴーンガール』では虚飾と人間の浅薄さを。『ファイトクラブ』では空虚感と破壊衝動を。などなど。思いつく限りカッコよく表現してみたのですがいかがでしょうか。
では本作は何かというと、そうですね、乙女心でしょうか。
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