ストレンジラヴ

インディ・ジョーンズと運命のダイヤルのストレンジラヴのレビュー・感想・評価

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「ウナギだよ。海に棲むヘビみたいなもんさ」
「それはやめてくれ…」

総決算。キャンディーズでいうところの「微笑がえし」。
この一見風変わりな、アウトドア全開の考古学者を追いかけてかれこれ20年以上経つ。
前作「クリスタル・スカルの王国」があまりにも飛躍し過ぎていて不完全燃焼だったため、今回も多少の不安はあったが、充分楽しめた。
ルーカスとスピルバーグ、互いが技術の全てと映画愛をぶつけたような出来。冒頭から若きインディ・ジョーンズとフォラー(演:マッツ・ミケルセン)が登場。このシーンはAIを用いて若返らせたそうだ。「スターウォーズ」シリーズで培われたルーカスのノウハウを応用すればAIの導入くらい造作ない。
そして至るところに過去の名作からの引用と思しきシーンが散りばめられており、こちらはスピルバーグの趣向が反映されたものと思われる(途中「アマルコルド」の曲が流れていた)。
今回はジェームズ・マンゴールド監督がメガホンをとったが、過去4作の構成や設定をうまく組み合わせてストーリーを構築しているのもファンからすると嬉しい限り。
欲を言えば、マッツ・ミケルセンにもっとアクションをしてほしかった。どちらかと言えばハリソン・フォードの年齢を考慮しての設定なのだろうが、学者学者し過ぎていて、「007/カジノ・ロワイヤル」(2006)を知る身としてはそこだけ物足りなかった。でもファッションからいちいち色気を放っており、所謂「マッツ女子」が観れば即堕ち間違いなし。
最後に、作品全体を通して「楽しい」よりも「寂しい」が漂っていたように思える。序盤のインディはとある事情でゴタゴタ続き。かつて人気を博した考古学の講義は居眠りする生徒が続出し、宇宙への関心を強めた人々からは考古学は相手にすらされていない。インディの背中には「孤高」ではなく「孤独」が付き纏っていた。なにより、インディ以上に「ある人物」からお別れを言われたように感じた。誰とは言わないが、音のひとつひとつが、これまでの活気溢れるサウンドから噛み締めるようなサウンドに変わっていたのだ。それがとても寂しかった。

本当はもう一点、議論というか確認したい場面があるのだがネタバレになるのでしばらく封印する。開帳の時まで...ぶちかませ、インディアナ・ジョーンズ!