様々な演出によって躍動感が感じられ、寓話的な雰囲気があった。しかし登場人物の微妙な気持ちの変化は現実的であり、共感を覚える部分もあった。
特にザックに関しては父親の望む姿と自分が望む姿の間で葛藤し、それらを共存させる様子に非常に共感した。母親とザックの関係性も印象的だった。ザックは自分のあり方を肯定してくれる母親を愛する一方でザックには神秘的な力があると思い込んでいる辺りには辟易しており、母親がとことんザックの味方であるというような安易な関係でないのが人間らしかった。親であっても子供に自分の望む姿を投影するのだと感じた。
終盤は父親との和解の間にもっとエピソードが欲しいぐらいに駆け足気味だったのが残念だったがそれでもグッとくるものがあった。
5人兄弟のホモソーシャルな感じも良く、なかなかの良作だった。
