回想シーンでご飯3杯いける

リトル・マーメイドの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)
2.8
エンドロールの背景で流れる宝石箱の中身を散りばめたような海の世界が美しい。しかし、何故これを本編で描かたなかったの?と思う。

とにかく冒頭と終盤で描かれる海中の映像が暗過ぎるのだ。恐らくは映像美やリアリティをアピールしたかったのだろうが、CGで変にリアルを追求すると映像のトーンが暗くなってしまうのは避けられない。ここはしっかりディフォルメして、様々な海洋生物が生活する賑やかで明るい場所として描くべきだったはずだ。アリエルが陸に上がるまでの尺が変に長い事もあって、とても陰鬱な気分になってしまう。

公開当初に賛否両論になっていた多様性云々の部分は、特に気になる事は無く、そもそもがエラが付いていない人魚が水中で普通にお喋りできてしまう世界観なので、細かな設定に意識が及ばない。

アリエルが地上に上がってからの展開は、海沿いの町らしい陽気さと、ダンスシーンの華やかさを存分に楽しむ事が出来る。特に今回のリメイクでは、主人公のアリエル以上にエリック王子の人物描写が良い感じ。女子目線で描かれるおとぎ話はどうしても王子がアホっぽく描かれがちなのだが、ジョナ・ハウアー=キングによる演技は、明るさと知性を感じさせ、同性から見て好印象だった。

ここ数年のディズニーの実写リメイクは、本作が特に顕著だけど、総じてCGのアレンジがリアルで怖い感じになっているのが残念。ピクサー制作作品で見られる熟練のディフォルメを見習ってほしい。