Ryu

オルメイヤーの阿房宮のRyuのレビュー・感想・評価

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)
4.0
構築され尽くされたモチーフと構図、物語の緻密さに痺れる。
女性への抑圧、オリエンタリズム、「あなたの愛は空疎な言葉だけだった」
閉塞的な愛の牢獄と不可能性というのが格子というイメージや熱帯雨林の小屋の中で(ラストシーンの斜陽がもたらす陰影は言うまでもない)連なりつつ、白人男の落ちぶれた主人公が混血の娘が生まれ育った環境というものを無視しながら、西洋至上主義的なイデオロギーを押し付けようとする傲慢さと愛を結びつける愚かさが素晴らしい。また、この物語は冒頭に殺されるあの男が『トリスタンとイゾルデ』におけるトリスタンにあたるのだろう。
これだけ抽象的なメタファー要素を組み込んでる中でギリギリ地に足が着いてるのはロケーションによる力と、アケルマンの映像演出によるものが大きい。特に役者の動かし方、歩かせ方がおもしろい。
Ryu

Ryu