このレビューはネタバレを含みます
題名に嫌悪感を及ぼしてご覧になるのを避けてしまうのはもったいないです。
70年代を生きる人間が考えた21世紀のエネルギー問題にユニークな切り口で語り掛けるエロテック近未来SF。
ウクライナ問題に端を発したエネルギー不足を考えながら理屈っぽく観てもいい。
エネルギーを消費しすぎて枯渇してしまった21世紀のイタリア。
文明は2世紀ほど退化し、街灯はなくなり移動手段は馬車や人力車そして照明はロウソク。
多くの科学者が新しいエネルギーの開発に挫折する中、
主人公のノビーリ教授は、男女のセックスの時の性的興奮がエネルギーになるのではないかと考えていた。
その仮説は実験により正しいと証明され、
研究チームは絶倫コンビの男女を病院の実験室に閉じ込めて更なる実験をする。
そして国を挙げてのSEX奨励キャンペーンが始まるのだが・・・
監督のパスクァーレ・フェスタ・カンパニーレは、
ヴィスコンティ監督の『山猫』などを手掛けた実力派です。
そして撮影がベルトリッチ監督の『暗殺のオペラ』の撮影監督だったフランコ・デイ・ジャコモが担当するなど、一流どころが揃っています。
おっぱいはたくさん出てくるし、
そのものずばりの性行為シーンもありますが少しも湿っぽくない。
そして、
ラストでは皮肉っぽく哲学めいた問いを客に投げかけて終わります。
愛のある性交が罪だったころは人々はセックスを求め、
愛のある性交が禁止されると人々はセックスを求めなくなる。
「この発電には未来がない。禁じられたことだけをしたがるなんて、なんと人間は愚かなのだろう」とつぶやいて終わります。
ふむふむ、これが言いたかったのか。
Conviene far bene l'amoreという原題の意味が深い、いかにもイタリアらしい大らかなセックスコメディです。