JunIwaoka

錯乱のJunIwaokaのレビュー・感想・評価

錯乱(2015年製作の映画)
3.5
2015.10.25 @ 28th TIFF

空き時間にたまたま当日券があったからって、ふらっと入って観るような映画じゃ全然なかった。。
複雑な情勢下にあるトルコが舞台なんだけど、具体的な時代背景だったり、主人公である兄弟が置かれる状況の説明が十分にない。気が滅入るように続く薄暗いシーンや不気味なナイズ音の居心地の悪さに困憊させられて、早く終わらないかなと思いつつも、彼らがタイトル通りに錯乱していけばいくほど、救われることを願いながら彼らの行く先が気になってしかたなかった。だんだん時間軸が曖昧になっていき、現実と幻覚が入り混じって反復するシーンが、ただの精神状態を表現するだけにとどまらない見せ方が見事でした。
民族間や政治的対立が激化し爆弾テロが日常化しているトルコだからこそ描くことができる物語だけれど、Q&Aで監督が捕捉していたのは、どの国であっても、取り巻く環境が強いる理不尽さや過度なストレスが与える絶望は簡単に人を狂わせるということ。理解できるできないということ以上にとても興味深い映画。
ただ主演の兄弟、特にお兄ちゃんの複雑な感情にあまりシンパシーを感じれなかったのが惜しい。
JunIwaoka

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