役人者

ガタカの役人者のネタバレレビュー・内容・結末

ガタカ(1997年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

才能と努力どっちも大事。それぞれが相互に影響を与え合いながら、唯一無二の進化をしていく。これを、遺伝と環境という言葉に置き換えても同じだと思う。遺伝的要因によって切り開かれる環境もあれば、環境的要因によって開花する遺伝的特性もある。
極端な優生思想が支配する環境に、不適正とされる遺伝子を持って生まれた主人公ヴィンセントが、優生思想の限界を証明する生きた証拠の如く、科学の予想を超えていく。ひねりの効いた設定の一方で、ストーリーは意外とシンプル。すぐにでもバレそうな遺伝子偽装を、綱渡りの連携プレイでギリギリかわしていくのがメインパート。主人公の協力者達も、生まれたときに付与された筋道どおりの人生を送っていない。適正な遺伝子を持つアイリーンは、不適正な遺伝子を持つヴィンセントに惹かれる。完璧な遺伝子を持つ、偽装のオリジンであるユージーンは、自らの遺伝子切り売りにやたら積極的。遺伝子検査を乗り切るのに必須とは言え、これだけ頻繁に尿が出てくる映画は初めてかも。
適不適問わず色んな遺伝子が出会うことで、新しい環境が切り拓かれ、より混沌とした進化の広がりが生まれる。その混沌に、科学では説明しきれない生命の力強さを感じる。最近の流行りとは少し違う角度で、生命が生き抜くには多様性が必要であることを訴えているようにも思えた。
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