イチロヲ

ぐしょ濡れ美容師 すけべな下半身のイチロヲのレビュー・感想・評価

2.5
酩酊状態のままでラブホテルの火災に巻き込まれた女性(佐々木ユメカ)が、行きずりの青年(川瀬陽太)と消防士(田中要次)の板挟みに遭ってしまう。"下半身の記憶"に翻弄される女性の葛藤劇を描いている、新東宝配給のピンク映画。別題「まるで再出発」。

一般作で活躍しているバイプレーヤー・田中要次が、消防士の役柄を熱演。ヒロインと関係をもった青年とも男同士の友情を結ぶのだが、どうしてもヒロインに近づきたい一心から、自己中心的な行動を引き起こしてしまう。

登場人物の振り子のような人間心理が、精緻に描写されているように見えるのだけど、妙なところでぶっ飛んでいる。そもそも消防士が個人の携帯電話を所有している時点で規律違反だし、どのような理由でヒロインに心惹かれたのか、そのポイントが掴みづらい。

下半身の疼きを方位磁石のようにしているヒロインと、磁石を引き寄せたがっている消防士。その双方の"恋狂い"を描いていくパターンではあるが、女池監督の堅実な作風(聞き取りづらい同時録音を含む)が、辛気臭さを増幅させている。
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