多分これだと思うのだが、何故印象的かというとBlu-rayに収録されている最後の作品であるにも関わらず1890年代に退化したように感じてしまったからである。
奇術を原始的トリックで単に羅列していく見世物性は明らかに時代に逆行していて痛々しい、調べてみると前年にエジソンが映画界の独占を試みていたようでメリエスはこの年に制作から一旦退いたのだとか。生産ペースが落ちていく09年〜12年の彼の作品は(財政難もあったのか)8割がこうしたやっつけ仕事的で、稀に『北極征服』(12年)や『シンデレラ』(12年)のような佳作で均衡を保っている。