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エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中にのmaverickのレビュー・感想・評価

4.3
2016年のアメリカ映画。監督は『6才のボクが、大人になるまで。』のリチャード・リンクレイター。


80年代を舞台に、大学生たちの学園生活を描いた青春ドラマ。物語は野球部員たちが暮らす一軒家を中心とした、大学が始まるまでの4日間となっている。彼らの頭の中は女の子のことでいっぱい。ナンパやパーティに興じ、作品内の8割は彼らのそうした姿で占められている。男同士の会話も、どうすれば女の子と関係を持てるかなどの低俗な会話。ノリは男子校のそれであり、下ネタ満載の酷い内容だ。それなのに、本作は何とも愛らしい。アメリカ的なノリなのは間違いない。それでもこれが青春だとはっきり感じる。男子も女子も青春を謳歌するべく毎日を楽しんでいる。若さ溢れるエネルギーを羨ましいと思うし、そんな彼らを見ているとこっちまで元気をもらえる。良作だ。

中盤までのノリを活かして後半の感動に繋げる構成も上手い。毎日をただ遊んでいるだけだとしても、その中にも学びや成長に繋がる出来事がある。何気ない毎日の中に、人生において忘れられないような愛しい瞬間が何度もある。こうして人は大人になってゆくのだなと、そう感じ入る物語だ。『ビフォア』シリーズや、『6才のボクが、大人になるまで。』など、リチャード・リンクレイター監督は人生の美しさを表現することに長けている。何気ない日々も愛おしい。自分の人生もそうなのだと、そう思わせてくれる。

主人公を演じるのは『Glee/グリー』のブレイク・ジェンナー。『トップガン マーヴェリック』のグレン・パウエルも出演している。ヒロインは『ヴァンパイア・アカデミー』のゾーイ・ドゥイッチ。彼女の出番は後半までほぼ無いが、めちゃくちゃ可愛らしくて強く印象に残った。出演者全員が80年代を再現した風貌で笑わせてくれる。どいつもこいつも愛らしい。


80年代サウンドの劇中曲も最高。エンドロールの演出も洒落ている。リチャード・リンクレイターの才能の高さを証明する良作。落ち込んだらこの映画を観て元気を貰おう。
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