LEONkei

テロリスト・黒い九月のLEONkeiのレビュー・感想・評価

テロリスト・黒い九月(1976年製作の映画)
3.0
これが現実。

ドイツ人が犯したユダヤ人への大罪はどんな贖罪によって許されるのか、言い方を代えればイスラエルとパレスチナの関係にドイツ国家としてどう贖うのか。


悲劇は何度も繰り返される平和の祭典とは名ばかりのオリンピックは、政治・紛争の絶好のタイミングとして利用されているのが現実。

ナチスドイツのプロバイダ…プラハの春…中国の核実験…ソ連のアフガン侵攻…ロシアのグルジア侵攻…。

そして今も一触即発の危機が各地で起こる気配が孕み、必ず五輪を政治や人種問題など利用する勢力も現れるだろう。


1972年9月ミュンヘンオリンピック開催中の選手村でパレスチナ武装組織〈黒い九月〉が同胞の釈放を求め、イスラエル選手及び関係者を人質に取った〈ミュンヘンオリンピック事件〉の実話に基づいた映画。

スピルバーグ版の『ミュンヘン』も思想が入ってしまってるものの描写は悪くはなかった、この作品は人質事件映画と割り切ってみれば交渉を基軸に淡々と展開し好感が持てる。


ユダヤとアラブの関係は一言では語れずこの事件の悲惨な結末に言葉を失うも難題に苦悩するが、これは結末ではなく悲劇の始まりでイスラエル・パレスチナ問題は今なお未解決のまま。

この事件に関して言えば当時のドイツ側の犯人への対応は偏った平和主義的のボン基本法に縛られ、完全武装の犯人に対し手薄な人員や武器の軽装備に解決が遠のいたことは否めない。

しかし他に解決への道があったのかと言えば自分には明確な答えは導き出せないが、言えることは何をしようが解決できない問題が世の中にはあると言う現実。

LOVE&PEACEも話し合いも武力も神に祈っても無意味と悟り、無力で非力で地球上で一番弱い生き物が人間だと知る。

そして誰にも止めることの出来ない理由に、人間には命より大切なものがある真実。


北京冬季五輪が紛争の火種にならないことを祈りたい..★,
LEONkei

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