LEONkei

獣人のLEONkeiのレビュー・感想・評価

獣人(1938年製作の映画)
3.0
引かれたレールは変えられなくても目的地は自分自身で変えられる…。


石炭、油、煙、熱風に煽られながら真っ黒になって機関車を走らせる姿は過酷だが手際良い、確実に目的地へ進み絶対に軌道を逸脱しない引かれたレールはル・アーブルへ。

何世代も遺伝は形質的に確実に受け継がれるが、それを否定しても逃れられない事実は形に表れる。

単純に遺伝によって人間の善悪を形成することは全くないものの、この映画は遺伝による人間の苦しみを深くはないが描いている。

深くはないが時代性と鉄道+犯罪+遺伝の組み合わせを上手く絡め、人間の醜さや破滅的宿命の描写に力強さも見れる。


社会が…親が…運が悪いとか、今或る境遇は遺伝が悪い訳ではなく変えられるのに変えない自分自身が悪いと気づかない人は少なくない。

鉄道については詳しくないが当時のフランス鉄道の機関車と機関士の関係や仕組みは興味深く、映画の中の描き方をみると今で言えば長距離トラックと運転手に近い感覚かなと..★,
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