奇天烈な世界観であるがワンアイデアを発展させて展開される物語はとても興味深かった。奇妙な世界観と無機質な演技が相まってシュールに感じられる場面が多く、笑ってしまう場面もあった。
ホテル内部を映す場面は対称な構図が多く、キューブリックのシャイニングを彷彿とさせた。
ストーリーはマッチングのためにいかに共通点を見つけるかに苦心する登場人物たちがマッチングアプリ全盛の現代を風刺していた。それは1歩引いてみると愛とは何たるかを問いかけられているようでもある。共通点がある事が果たして愛なのかと問われると決してそうではないと思うが、本作を観ると相手と共通点があることを確認し合うことが愛であると訴えているようである。本作の世界観は誇張したものであるからそんな訳ないと思う場面があるが誇張しているからこそ突き詰めて考えた行先のようにも思え、だからこそ些細な共通点が愛に発展するのだと思わせられた。
前半がパートナーを持つことに焦点を当てた展開であればその対となる展開が後半であるのも興味深かった。
アバンタイトルが終盤の展開に繋がるかと思いきや全く繋がらず、ラストはラストでこちらに委ねるような閉め方をしているのでかなり面食らったのが印象的だった。
