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人間の値打ちのevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

人間の値打ち(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【評価額】

ある交通事故が起きた日の前後を、3人の登場人物の視点から描いています。

①投資ビジネスにしか関心のない、差別主義で冷淡な大富豪の主人。②彼に憧れて、おこぼれに与ろうとするゲスい不動産屋。③甥が受け取った親の保険金で楽をしようと計画している叔父。資産状況は違えど、どの家庭の主も、金への強い執着を見せます。①の妻と息子は家族愛に飢え自分を見失っており、②の娘は恋愛感情を優先させ、③の甥も自己評価が低いのか、リストカットを繰り返して心の問題を抱えています。②の不動産屋のパートナーだけが、どの状況においても、感情や金銭に振り回されることなく、理性を失わずに対応していました。

金持ちの息子を無罪にする証拠の値段と、死亡者の家族に降りた保険金額の差。金に群がり金に踊らされる人達がよく描写されていました。

「価値」というのは、思い入れによってしばしば変化します。無関心な人にはガラクタ同然でも、熱心なコレクターにとっては喉から手が出るほど欲しい希少な芸術品やグッズがあるし、かけがえのない人の命を救えるなら、多額の借金をしてでも助けようとするでしょう。しかし、もしそれが、ニュースで流れる事件のように、見ず知らずの人の命だったら?いくら感情に左右されない普遍的な「価値」を認識していても、赤の他人のために私財を投げ打てるか?

劇場再建に向けてのミーティングで、作品の魅力や話題性を評価・批判するに当たっても、参加者が各々持論を展開して非常に主観的でした。

最後はお金でも肩書きでもない、Lucaの「値打ち」に純粋に惹かれているSerenaに救われる面もありますが、彼女を含め誰も被害者に真の同情の念を抱いていないようでした。
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