さやか

リリーのすべてのさやかのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.2
映画館で思わず泣いてしまいました。始まりも終わりも、ただただきれいな映画でした。

主人公のアイナーはふとしたきっかけから自分の中にある「女性になりたい」という願望に目覚め、その実現へと動き出します。最初は受け入れられず衝突していた妻も徐々に彼の揺るぎない強い思いに動かされ、この一大プロジェクトをサポートするようになります。

当然のことながら、今からずっと昔の時代(1930年ごろ)では、男性が女性になりたいという願望は「おかしなこと」「不自然なこと」という風に扱われていました。どの医者に相談をしても、異常である、精神的に疲れているからこうなっている、という診断結果しかもらえず、苦しむ夫婦の姿は本当にかわいそうで見ていられませんでした。

この映画のキャッチコピーは"Have the courage to love" "Have the courage to be yourself"ですが、今から50年以上も前に自分らしくあろうと立ち上がったアイナー、そして、葛藤がありながらもその決断を支え続けた妻の勇気は計り知れません。

この時代と比較して、一人一人が自分の生きたいように生きられる時代に、現在はなりつつあるように思います。どんなことでもそれを個性として受け入れられるような世の中になっていけたら、これ以上にすてきなことはないですね。
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