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ハン・ゴンジュ 17歳の涙のmaverickのレビュー・感想・評価

ハン・ゴンジュ 17歳の涙(2013年製作の映画)
4.3
2014年の韓国映画。主演は『サニー 永遠の仲間たち』のチョン・ウヒ。彼女は第35回青龍映画賞で主演女優賞を受賞し、監督であるイ・スジンも新人監督賞を受賞した。


2004年に起きた実在の事件を基に製作された衝撃作。被害者の少女の視点から見ることで、被害を受けた側がどれほどの苦しみを抱えるかを認識することが出来る。苦しみはその時だけにとどまらず、その後もずっと被害者を苦しめるのだということ。普通に生きようとしても、そう出来ないことがどれほど残酷か。本作を観れば、そうした事件の被害者の苦しみを痛感する。これを見てもなお性暴力を軽視する者がいるとすれば、はっきり言ってその者の精神は異常であると断言出来る。作中では被害者の周りも含め、社会の在り方そのものをも問う内容となっている。ひとりひとりの認識を改めるためにも本作は必要。意義のある作品性である。

主人公ゴンジュの苦しみがダイレクトに伝わる。なぜこの子が怯えて、社会から隠れるようにして暮らさなければならないのか。あまりにも残酷な仕打ち。自分はもう最初の辺りから涙がぼろぼろこぼれた。演じるチョン・ウヒが、ゴンジュの繊細な心の変化を表現している。時系列が頻繁に変化するので鑑賞する側は戸惑うが、演じる彼女はそれに合わせたゴンジュの変化を見事に表していた。彼女の熱演があるからこそ、本作のメッセージも強く伝わる。本当に見事な演技だ。


当たり前だが重みが違う。ラストの衝撃は忘れられない。そういう意図を持った作品性ということが何より素晴らしい。鑑賞して良かったと、そう心から言える作品だ。
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