イチロヲ

ピンクリボンのイチロヲのレビュー・感想・評価

ピンクリボン(2004年製作の映画)
4.0
新東宝が製作するピンク映画の実情に迫ったドキュメンタリー。60年代の黎明期に活躍した監督(主に若松孝二)のインタビューと、90年以降の次世代の監督(主に女池充)の活動を交互に描きながら、業界の変遷を解説していく。

「映画は悩みながら撮るものではない!」と豪語する若松監督と、撮影現場で頭を抱えて悩み続ける女池監督の、世代間ギャップが面白い。ピンク映画第一号とされる「肉体の市場」(大蔵・1962年度)の現存フィルムが見られるのも貴重。

ピンク映画の製作陣は、プロデューサーから予算を捻出させるために、また映倫の審査を切り抜けるために、ひたすら頭を使う。だから、ピンク映画の撮影現場は、大衆映画の撮影現場よりも、映画人を成長させることができる。

伝えなければならない要素が多すぎるため、2時間でも尺が足りていない印象があるけれど、「ピンク映画入門編」としては最良の出来栄え。未知なる知識が頭の中に入ってくるときの、恍惚感を得ることができる。
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