JunIwaoka

フリー・フォールのJunIwaokaのレビュー・感想・評価

フリー・フォール(2014年製作の映画)
3.0
2014.10.24 @ 27th TIFF
(英題:Free Fall)

いや〜東京国際映画祭1本目からなんてユニークな、、というかブッとんだ映画だこと。そもそもハンガリー映画を観たことないけど、こんなエッジのある感性なんでしょうか。。
暗鬱なノイズから突然Amon Tobinが炸裂するオープニングは"ニンフォマニアック"を思い起こさせ、また他愛もない老夫婦の会話の居心地の悪さは"愛、アムール"さながら。そこから淡々とする飛び降り自殺に戸惑いながら、唐突に展開していくパラレルワールドに頭が追っつかないが、各階をオムニバス形式のエピソードにして、次第にその奇抜さを減らして理解出来るようにするあたりの展開はすごい。そして最後まで観客に放り投げてしまう潔さまでお見事でした。
地に落ちた人間の階段を登るという行為自体が、落下という自然摂理に逆らう愚かな行為として描かれ、その象徴として見せつけてくる各階の不可思議な世界は、これが現代社会なんだと嘲笑うかのよう。狂っているんだけど、周りの当たり前であるかのような振る舞いが、あたかもお前も同じように狂っているんだと突きつけられる。
居心地の悪さに飛び降り自殺をしてまでも続いてしまう哀れな人生のように、自由落下の狂った現代社会からは逃れられないという訳か。
JunIwaoka

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