櫻子の勝手にシネマ

ルイの9番目の人生の櫻子の勝手にシネマのレビュー・感想・評価

ルイの9番目の人生(2015年製作の映画)
3.8
原作はリズ・ジェンセンの小説『The Ninth Life of Louis Drax』。
小説がとても面白かったので映画も観賞してみた。
本作はリズ・ジェンセンの母の身に起きた悲劇がモデルとなっている。

毎年危険な事故に遭い、9年で9回死にかけた9歳の少年ルイの謎を巡り、担当医のパスカルがルイの秘密を解き明かそうと奮闘するストーリー。

9歳の誕生日に崖から転落し、昏睡状態となる主人公ルイを演じるのはカナダ出身のエイダン・ロングワース君。
彼はオーディションで抜擢され、本作の出演がきっかけとなり、カナダを中心に活動する子役に贈られる『The Joey Awards』で2017年最優秀助演俳優賞を受賞したらしい。
子供ながらにミステリアスな雰囲気を漂わせていて、サスペンスやミステリーの作品が似合いそうだが、最近は目立つ活動はしていない様子で残念。

ネタバレにならない程度でレビューしようと思うと難しい映画。
因みに、私は冒頭から犯人が誰かわかっちゃいました。
だってさ、子供が毎年何らかの事故に遭うのに一番身近にいる母親は何してるの?ってなるじゃないですか(笑)
そうです、お察しの通り犯人はあの人です。

ルイの夢の中に現れるシーモンスター。
真っ黒いゴミの塊みたいな見た目で気持ち悪いけど、何故かルイと普通にお喋りする仲。
最初はこのシーモンスターの意味がわからなかったが、後半に進むにつれて徐々にその正体が明らかに。
なんと行方不明の父親ピーターだったのだ。
彼はピクニックに行った時に崖から転落して死んでいる。
しかもピーターはルイの実の父親ではない。
彼は生前酒乱だったので、冒頭では行方不明のピーターが容疑者ではないかと疑われていた。
実際は血の繋がりがなくてもルイを本当の我が子のように愛していた良き父親だったのだ。

「僕が死にそうになればママは幸せだし、もっと僕を愛してくれる」

ルイの母親みたいな人間に育てられている子供が実際世の中にいるのかと思うと、とても恐ろしくなる映画だった。