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解放区のeyeのレビュー・感想・評価

解放区(2014年製作の映画)
3.6
解放区(2019)

今回のレビューは私の昔話を中心に書き記しておこうと思う

私は当時通っていた都内の大学で何故か専門外の政治経済の講義を受講していた

別になんでもよかったのだが
政治経済をチョイスすることにした

俗に言う「一般教養」というやつだ

その講義で教壇に立っていたのは
半袖にジーパンというラフな私服すぎて

「この人 ホントに大丈夫かな・・」

というレベルの変な非常勤講師(男性)だった

彼は最初から最後まで流暢な関西弁で教べんを取る謎なスタイルで

受講回によっては「ほぼ政治経済とは関係ない雑談して終了」

みたいなコレまた謎な講義をすることも多かった

受講してる人間からすれば

「こんなラクな講義はない」

と思った人間がきっと多かったのではないか

何故そのような流れになったのかは今ではハッキリ思い出せないけれど講義の中で

『西成区』

について彼が喋る回があった

私は彼が『西成区』について
喋っていた内容だけは鮮明に覚えている

彼は以下のようなことを喋っていた

・あそこはホントに危険
・地元民でもめったに近寄らない
・男でも怖いのに女性が近寄るのなんてもってのほか
・昼間でもなかなかな(怖い)雰囲気だけど夜なんてとんでもない
・ホームレスだらけ
・追い剥ぎのような目に遭う
・スラム外と化している
・異臭もすごい
・警官すら立ち寄らない

というようなことを話していた

そして何故かSHINGO★西成という西成を拠点に活動するラッパーの音源を講義場で聴かされたという・・

西成の現状すら知らなかった当時ボーッと

「へぇそんな場所が日本にもあるのか」

程度で捉えていた

この映画は西成区について描かれた

『フェイクドキュメンタリー』

手法の映画だが根底の内容は事実に基づいている

この映画を見たことで講師をしていた彼が当時話していた内容にリアリズムを与えられたような気がしている

都市伝説級だが事実のような話

西成あいりん地区周辺のあるコンビニのトイレに

「便器に注射器を捨てないで下さい」

という張り紙がしてある

というのをどこかで見かけた

映画でも核心的に描かれるように

『売人』が至る所にはびこっていて

覚醒剤を得るのにそんなに難しくない

とも言われている西成あいりん地区

映画自体は『町の記録』

という側面もあれば

主人公スヤマが精神的に追い詰められ
漂流した場所が西成でもあり

とある少年を探すために訪れた場所でもある

西成に暮らす人々の思想を描き

生きるために日雇いで生活する労働者も多い街

その中に垣間見る『貧困』・『犯罪』

個人の問題ではなく地域全体が特有の雰囲気を放っているからこそ

得体の知れないエネルギーが生まれている

と考えることもできる

映画として

ラスト間際の覚醒剤を如実に描くストーリーは市から助成金を貰って制作するには少々過激すぎて厳しいものがある

「これがリアルでしょ」

と表しても西成を痛烈にディスしてるようにも受け取れる描写だから

いち素人の私からみても

「コレはちょっと・・」と思う

「完成後の内容にNGが突き付けられた」というのも分かる気がする

(撮影前のプロダクションで何故この内容で一旦審査を通らせたのかは疑問や謎が残る)

フィクション/ノンフィクション

これらを混ぜ合わせた

『娯楽』

として人々の生活様式を観る中で
「答え」を見つけるのではなく

ただそこに描かれる

「現実を見つめる」映画なんだと思う
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