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セッションのHikeのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.0
音楽とは一種のコミュニケーション、あるいはその伝達手段の一つと捉えられまいか。

本作で登場では若きドラマーを主人公に、音楽院の教師、院生や主人公の家族・親類を舞台にコミュニケーションの在り方を描かれる。

十八歳の主人公はまだまだ精神的・社会的に未分化であり、家族や親戚や恋人、あるいは学校という小さな社会の中でも主体的に自分のポジションや存在意義を確立することが出来ず、あるいは口下手なあまり自分の思いを適切に伝えることができず、ひたすらもがく。

そのもがきが形として一心不乱なドラムの速弾きで表現される。 作中描かれた血が流れて楽器に滲む練習は、コミュニケーションに対する彼の渇望や不満に対して流される涙のように感じられた。

物語の最後では「自分がキューを出す」と発言する場面があるが、これは教師やバンドメンバー、あるいはこれから出ていく社会に対して主体性を獲得して関わり「セッション」を続けていくという、主人公の変化と成長そのものであった。
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