王冠と霜月いつか

キングスマンの王冠と霜月いつかのネタバレレビュー・内容・結末

キングスマン(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

“Manners maketh man.”

-William Horman

「礼節が人を作る」…makethは昔の英語。現代英語では
Manners make the man.

生まれや家柄ではなく、努力して培った礼節こそが立派な人間=紳士を作るということみたいですね。

父親が任務中に殉職してしまった事で、人生が狂ってしまった、エグジー。全てを他人の所為にして自分の人生を手放してしまいつつある彼の元へ、ある事件をきっかけに、父の友人で現役の組織『キングスマン』のエージェントである、ハリーが、新たなる希望…新メンバーを探す為に現れる。まるで、ずっと見守っていたオビ=ワン・ケノービが、遂にルーク・スカイウォーカーの元に現れるが如く。…マーク・ハミルが出ている事に引っ張られ過ぎかも知れないけどね(笑) でも意味はあるんでしょう?STAR WARSは生まれと家柄の話ですけれど。

エグジーのキングスマン採用試験、常に『選択』を迫られるんですね。間違えれば即、死が待つ命懸けの選択の連続。そんな中でチームワークを重んじながら、口の堅さと絶妙な判断力で正しい選択をして最終選考まで残るエグジー。最後にずっと面倒を看てきたパグ犬のJB(×ジェームズボンド、×ジェイソンボーン、〇ジャックバウワー(笑))を銃で撃てと組織のトップに試されるシーンは、撃てないので不合格??…そこは、撃たないから合格なんじゃないの?と思ったんですが、そもそも空砲だったんで『撃つ』が合格条件だったのでした。試験中に脱落した=死亡したと思われていた仲間も実は誰1人死んではいなかったのですね。そこはザ・ファブルの世界観とは異なりました。

スパイアクションを支える格好良すぎるガジェット☂、長回しワンカットの爽快アクション、たっぷりの皮肉とユーモア、スリルと格好良さ、非日常を味わう映画というエンタテインメントには欠かせないそれはそれは堪らん演出なのです。
素晴らしい映画でした。
監督マシュー・ヴォーンはシリアス過ぎるスパイ映画ではなく楽しめる初期の荒唐無稽の007のような映画を撮りたかったという事がキングスマン誕生の経緯なので見事大成功ですね。

後半気になっていたのは、靴に隠された刃物の使い所と、あっさり死んでしまった、ハリーが実は生きていて、エグジーのピンチに駆け付けるのか?を期待していたのですが、ハリーは死亡確定の様でした。次作で要確認ですね。

今作のヴィラン、サミュエル・L・ジャクソン演じるヴァレンタインは、28日後…のレイジウイルスをデジタル化したような、スイッチ1つで人を凶暴に出来るSIMカードと首筋に埋め込んだ花火爆弾?で、世界の要人から一般人までコントロール下に置くことが出来る技術を持つ恐ろしい男でした。しかし、地球上の誰かがふと思った『人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずにすむだろうか……』というメッセージを受け取った1人なのかも知れませんね。
サミュエル・L・ジャクソンはジェダイの騎士より、悪役の方が映えますね。ハリーにマクドナルド🍔をご馳走するシーンは、ビッグカフナバーガーじゃないんかい!と思いましたが。

スコアが4.0を超えないのは、全ての人にお薦め出来る作品ではないから。スカンジナビアのお姫様との不適切なシーンは嫌いではありません。

因みに、サヴィル・ロウ(サヴィル・ロウはロンドンの中心部にあるメイフィアにあるストリート名で、主に高級紳士服のオーダーメイドを承るお店が数多く立ち並んでいるそうです。)に実在するハンツマンという老舗テーラーがロケで使用されていて、地下に繋がるあのフィッティングルームも一部セットですけれど実在する様です。日本語でスーツを意味する『背広』は、サヴィル・ロウが由来なのは有名過ぎる話ですね。