しらすごはん

涙するまで、生きるのしらすごはんのレビュー・感想・評価

涙するまで、生きる(2014年製作の映画)
3.8

今作も、
ヴィゴ・モーテンセン主演のロードムービー。

レダ・カテブもいい味出してます。

『ゼロダークサーティ』に出ていた俳優ですよね。

カミュの短編小説の脚色とのこと。

1954年アルジェリア独立戦争のさなか、アルジェリアの荒涼とした砂漠が舞台。

美しいけれど厳しい風景が広がってます。


教師ダリュ(ヴィゴ・モーテンセン)のもとに、殺人容疑をかけられたアラブ人のモハメド(レダ・カテブ)が連行されてくる。

ダリュは、山を越えた町へ、モハメドを送り届けるようフランス憲兵に命じられる。

初めは命令を無視し、モハメドを解放しようとしたダリュだったが、モハメド自身が裁判を希望する。

しかも、ダリュの学校に、モハメドの命を狙う襲撃者が現れ、やむを得ず彼を連れて町へ向かう。

道中、ともに危険を乗り越える内に、2人の間には奇妙な友情が芽生え始める。

モハメドは、そもそも死を覚悟している。

家族のために、モハメドは殺人を犯していた。

アラブの血の掟を断ち切るため、フランス軍に処断されることで、復讐の連鎖を断とうとしていた。

モハメドが殺されると、幼い弟がモハメドの仇を討たなければならなくなるから。

ダリュ自身の過去も明らかになってくる。

以前フランス軍の将校だったが、第二次世界大戦後、アルジェリアの砂漠に1人で暮らし、1部屋しかない校舎でアラブの児童相手に教師をしている。

ダリュは、フランス人からはアラブ人として見られて、アラブ人からはフランス人と言われていた生い立ち。

第二次世界大戦で、主人公も深い心の傷を負っていたのだと想像させる。

戦争の後、軍事力でなく、教育の力でアルジェリアをダリュは変えようとしていた。

実際、義務教育でもないにもかかわらず、近隣から子どもたちは通い、学ぶ喜びを感じていたというのに。

モハメドを町の見えるところまで送り届けた後、「みんなも分かっていると思うけど」と生徒達に別れを告げ、彼はいつもどおりの授業をする…
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