このレビューはネタバレを含みます
1章は想像の範疇を出ない凡庸な内容で、今この時代でも名作と呼ばれるには無理があると感じたが、2章からは展開には変化がないものの、小説が原作になっているように文学的でプラトニズムな話になっていて、良い意味で裏切られた。
ここまで低予算なセットで本格派なSFを作ることができるのかと思った。
特に鏡が素晴らしく、この演出は虚像であること、自分以外に自分がいることというこの物語の主題であるイデア論を表していることの他に、視覚的にも面白い構図になっている。
しかし、やはり現在のSFと比べると見劣りする。50年前の作品を観て、現在よりも…と評価するのはこの作品のメタ要素に乗せられているようで癪だが笑
そして些細なことだが、エンディング曲はフリートウッドマックに不満があるわけではないが、せっかくのドイツ映画でSFなのでクラウトロックのもう少しテクノっぽい音楽が良かった。