emily

ジェンダー・マリアージュ ~全米を揺るがした同性婚裁判~のemilyのレビュー・感想・評価

4.0
2008年に一度合法とされていた同性婚が「提案8号」により禁止された。再び合法を求め立ち上がる二組のカップル。アメリカ合衆国の最高裁判所で始めて婚姻の平等が争われたんだそう。その軌跡を5年間に渡り映し出し、敵同士だった弁護士がタッグを組み一大ムーブメントを起こしていく。

人と人との間に善悪はない。善悪は自分の心の中にある。今生きやすい世の中にいるなら、それの世の中にするために戦った人がいる。日本でも同じように戦っている人達がいる。まだまだ偏見が多いが、徐々にそれも変わりつつある。

まず提案8号により禁止された同性婚。それにより立ち上がり、社会の権利ではなく、個人の権利を主張し、固定観念を徐々に取っ払われ大事なのは子供を作るための結婚ではなく、愛する人同士が結ばれる物が結婚でなくてはならない。禁止されたからこそ、人々は婚姻の平等について考える事が出来、大きなムーブメントとなったのではないか。

二組のカップルはどこにでもいるカップルで、長年寄り添った空気感が非常ににじみ出ている。言葉にしなくてもお互いを思いある気持ちがあり、しっかり同じ方向を向いて、優しい笑顔で見つめて寄り添っている。なかなかここまで寄り添える関係になるのは難しい。その心に、その涙に、その笑顔に、胸が締め付けられる思いで、そうして溢れ出る絶対的な信念とプライドは本当に心に響くものがある。

その思いがその信念が周りに伝染し、人々の心を動かす。
「勝ったのは戦ったからで、敗北を恐れたからではない」
その勇気にその大きな犠牲に、そうして支えてくれた家族の愛に、そうして観客に問いかけてくる。自分の権利を主張するために戦っていますか?戦わずに勝ち取るものは何もない。何かを変えたいなら、まずは自分が変わるしかないのだ。
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