tkyk

やさしい人のtkykのレビュー・感想・評価

やさしい人(2013年製作の映画)
3.8
初めてギョーム・ブラック監督の作品を観た。「エリック・ロメールの後継者」みたいな評価をちらほら見かけていたのでとても気になっていた。本作だけを観た印象だとカメラワークや編集といった映像面は非常にロメールぽかったが本作の内容はロメール作品とは異なるものだった。

個人的にロメール作品の特徴は「偶然」と「独特な恋愛観を持つキャラクター」だと思うが、本作はそれらを薄めた様な作品だった。特に2点目に関しては妙にリアルなので面白さよりもイライラが若干勝ってしまった。
マクシムが異常な人物みたくなっていたがそうなってしまうのも分かるぐらいメロディの行動も最低だと思ったし、そういう事をしそうな人は現実に少数ながらいそうなので2人が興味深いキャラクターというよりも分別がない人間みたく感じられた。もっと非現実的な考えを持つキャラクターだったらそういったイライラを感じずに興味深く観られたのかもしれない。
「偶然」の点も物語の展開に必要だから入れている感じがしてあまり感心できなかった。ロメールの様に偶然を物語の推進力にしようとしていたのではないかもしれないが、自分が勝手にロメールらしい偶然の使い方を期待していた分、物足りなかった。

本作だけ観ると案外普通の恋愛ドラマみたいだった。
tkyk

tkyk