takanoひねもすのたり

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

3.4
ファンタジー+ブラックコメディ。

かつてブロックバスター映画『バードマン』でスーパーヒーローを演じスターの座を得たものの以来ヒット作に恵まれず気がつけば60代のリーガン(マイケル・キートン)思い切ってレイモンド・カーヴァーの短編を元に主演、脚本、演出を手掛けた演劇でブロードウェイに進出を図る。が、プレビュー前日からトラブル、そしてリーガンの内心も段々ナーバスに。

演劇界(映画界)悲喜こもごも。

OPから「何でそんなかっこでヨガってんの??」という不思議シーンから始まりますが、こちらの戸惑いはおかまいなし。

おまけに幻聴と会話する、サイコキネシス使える、空中に浮かぶなど、もう???です 笑

これ何だかんだありつつのタイトル通りの話なんですよね。
何かで一度でもあの興奮を味わったらもう一度あの場所に立ちたいと思う……とは誰か舞台女優さんの言葉だったと思いますが、演劇……ひいてはハリウッド映画界という場に磁石のように引き寄せられてしまうものなのかも知れない……凡人には知り得ない感覚で。

家族関係の修復も多少描かれますが、娘ちゃんと実力はあるけど無軌道な俳優マイク(エドワード・ノートン)の影の部分をみせる装置だったかと思います。

「イカれてるけど魅力的で、どんなに暴走しても美しい。それは酒やハッパでは隠せない」
こんな台詞、言われてみてぇ……笑

オペラ座の怪人のポスターがあちこちに忍ばせてあり、最終的にリーガンが包帯ぐるぐるでそれに近い様子になってムスっとしているのがおかしい。
そして結末。
ファンタジーですね。
娘ちゃんのなんともいえない笑顔が良い余韻。

個人的にはジェイクさんが胃痛でブっ倒れないのは流石この世界とリーガンとの付き合いの長さがなせる技……!!!!
もう見ていて胃痛になりそうでした。

大人だけど夢みてばかりもいられないだけど、自分の人生なにか一発逆転あったっていいじゃないか!と願うひとたちへのちょっと辛口の優しいファンタジー。
いい作品でした。