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SPACYのTnTのレビュー・感想・評価

SPACY(1981年製作の映画)
4.0
 体育館に宿る霊感。ドラッギーの中でもバッドトリップの類。

 以前松本俊夫の「アートマン」と同時上映されており見たことがあった。その時、音量ミスなのかと思える程爆音で今作を鑑賞した。ほんとに吐きそうになるほど気分が悪くなった。途中で起きるフリッカー現象といい、その没入していく映像といい、居心地悪くさせる音楽といい…。今ならこうしてデスクトップで見て、その映像の面白さだけを楽しむことができたが。

 伊藤高志は「逆噴射家族」で家が壊れるシーンの特殊効果を担当していた映像作家。その他魅力的な実験映像を制作している。そんな彼の衝撃の元となったのは松本俊夫の「アートマン」であった。あのコマ単位での視覚的暴力と、コマとコマの間に更なるトリックを仕掛けたのが伊藤高志だろう。コマとコマの間にはもちろん間がある。そうなると平面の写真と現実をつなぐというトリックさえ可能になる。非常にアナログなのに、今まで見たことない視覚効果を発動する。
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