てつこてつ

ヘウォンの恋愛日記のてつこてつのレビュー・感想・評価

ヘウォンの恋愛日記(2013年製作の映画)
3.7
久々に再鑑賞。この頃のホン・サンス監督作品は、今も貫くスタイルこそ確立しているものの、もっとストーリー性があった事に驚き。

若き大学教授とその教え子であるヒロインとの不倫関係を、言い方は悪いがカラッと明るく、コミカルに描く。二人の会話が、何だかとってもリアル。映画監督も兼ねる大学教授の、ある意味アーティストらしい自己愛に満ち満ちながらもひたすら理想論を説く姿が滑稽でありながらも憎めない。イ・ソンギュン、映画デビュー間もないこの頃もいい味出してるなあ。痴話喧嘩から癇癪を起こし口汚くヒロインを罵っておきながらも、その後一人でおいおいと声を出しながら嗚咽する姿で許せてしまう。

ヒロインを演じたチョン・ウンチェも華やかな存在感があって、とっても魅力的。妻子ある男性との交際についても、どこかカラリと割り切っている感が現代風。「付き合ったんだから寝るのは当たり前」と恥じらうことなく色んな人間に語る姿も気持ちいい。

終盤に登場する7年間も不倫関係を続けているという友人カップル役には、ホン・サンス作品の常連であるユ・ジュンサンとイェ・ジウォンが扮し作品に安定感が出る。冒頭にジェーン・バーキンご本人登場とは、これまた凄い。

とにかく男女間で交わされるたわいもない会話の一つ一つが実にイキイキとしていて聞いていて楽しい。

ソウルのどうってことない街並みの風景はもちろん、ロケ地となった世界遺産・南漢山城も一度は訪ねてみたいな。
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