JunIwaoka

プールサイド・デイズのJunIwaokaのレビュー・感想・評価

プールサイド・デイズ(2013年製作の映画)
4.5
(原題:The Way, Way Back)
2015.1.25 @ iTunes Store On Demand

胸いっぱい。なんて素敵なド青春映画!!

内向的な少年ダンカンがひと夏の友情、恋、親との喧嘩を通して、成長していくという大変チープなあらすじなんですが、さすがはFox Searchlight Picturesさんいい仕事してます。
まず夏休みのバカンスというのが、離婚した母親パムと、母親のいまの彼氏トレントと、その彼氏の娘とリゾートへ出かけるという非常に複雑な状況。トレントの友人たちも集まり身勝手な大人たちはハイになるし、14歳の多感な少年はそりゃ浮かない顔するわと同情してると、それを気に入らないトレントの傲慢で嫌味たらしい態度に居場所がない。家族に団結することを強要する未熟な大人に早熟を強いられる子供の関係性が絶妙で、さすがは"The Descendants (ファミリー・ツリー)"でオスカーの脚本賞を受賞した監督だけある。
それでもダンカンのホットサマーにしたいと願う気持ちが健気で、偶然知り合ったお世辞にも立派な大人とは言えないオーウェンに導かれるようにたどり着いたプールのバイトに居場所を見つける。そのへんはまんま"Adventureland (アドベンチャーランドへようこそ)"な気もするんだけど、うんざりする家族たちとの時間と、気が置けない仲間たちの時間を行き来するコントラストがよりリアリティがあっていい。
決して母子家庭を非難することはないけど、子供の成長には絶対的な親の愛情以外のなにかも必要。思春期の子供にとっては、立派な大人として上から強要する躾よりも、同じ目線で話すやんちゃな大人たちの方がまともだったりする。特にオーウェンを演じるサム・ロックウェルが素晴らしく、"型にはまるな、自分らしくやれよ"という無責任な言葉に一緒に勇気づけられて思わず涙。楽しい夏というのは一瞬で、いつまでも仲間と一緒にとどまることは出来ないけれど、黄昏を憂うことはない。Pop'n Lock、君ならきっともう大丈夫だろうな。
JunIwaoka

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