たけのこ

チョコレートドーナツのたけのこのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.0
分かり易く言うとゲイのカップルが知的障害のある子供を引き取る話なんだけど、そう書くのも一面的過ぎで、テーマはもっと普遍的なものですね。偏見によって真実を歪めて見ることの愚かさというか。

古くは女性の公民権運動であったり、黒人の解放運動であったり、今では当り前とされているものであっても、それが広く認められるまでには本作のような悲しい出来事が無数にあったのだろうと思います。

今の私たちの感覚からすれば、あの子にとってどちらの環境が望ましいかは誰の目にも明らかなので、そういう意味では違和感しかなく、1979年という当時の時代背景があってこそ成り立つ物語なのだけど、例えば今の時代で言うとどのようなものがこのような偏見の対象に当たるのだろう?

あの小さな新聞記事が、多少なりとも彼らの物の見方を変えることになったのであれば希望は見出せるけど、偏見に凝り固まった人の考え方を変えることはなかなか難しいようにも思います。

邦題のチョコレートドーナツは秀逸ですね。彼の好物がそのままかけがえのない彼のパーソナリティを象徴している。一方で法廷の彼らは、チョコレートドーナツの好きな男の子という人格としてではなく、一つの裁判事案としか見ていない。私もどこか自分の気づかないところでそのようなことをしてしまっているのだろうと思います。
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