カツマ

処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビのカツマのレビュー・感想・評価

4.4
ついに勃発するゾンビ戦争!恐怖の軍隊ナチスゾンビに対するは、復讐に燃える眠れる死者ソビエトゾンビ!ゾンビの親玉となった哀しみの戦士は当の昔に一線を越え、血みどろの戦場の先陣をグシャグシャになるまで突き進む。さぁ、血と内臓と死体の山で積み上げられた死闘の幕が今上がる。もう闘う以外の選択肢などない。憎き敵から受け継いだ右手が悲鳴のようにうなりをあげた。

近作では『バイオレント・ナイト』などハリウッドでもその才能を輝かせる、バイオレンス・アクション急先鋒トミー・ウィルコラ。今作はノルウェー出身の彼が撮ったゾンビ映画『処刑山デッド・スノウ』の続編で、グロ要素全開、容赦なしのバイオレンスゾンビ戦争が繰り広げられている。前作のあらすじはザッとモノローグとして紹介されるため、こちらから入るのも全然あり。迷走する主人公と恐怖のゾンビ軍隊が真正面から激突、どこに向かってもカオスしかない。見終わってみれば、どストレートなサム・ライミ愛と屈折したスターウォーズ愛が意味不明な魔合体を遂げていた。

〜あらすじ〜

雪山でナチスゾンビに襲われ、恋人や友人たちを惨殺されたマーティンは右腕を失いながらも命からがら逃げ延びるも、ナチスゾンビのボス、ヘルツォークの追撃を受ける羽目になる。車に乗り込み、粘るヘルツォークの右腕を刈り取り、何とかゾンビたちを振り切ったかに見えたマーティン。だが、その後、雪山で自動車事故を起こし、次に目覚めた時には病院のベッドの上にいた。
マーティンを待っていたのは友人たち殺害の容疑者としての扱いだったが、それ以上に悲惨だったのは、医師がマーティンの右腕にヘルツォークの腕を移植させていたことだった。マーティンはヘルツォークの腕を制御できず、医師含め諸々を故意ではないのに殺しまくってしまう。完全に連続殺人犯となってしまったマーティンだが、不幸にも彼に関わってしまった少年からゾンビ・スクワットなる組織の話を聞き・・。

〜見どころと感想〜

まず断言しておきたいのは、今作はとにかくグロいということ。マジで容赦がないので、グロ耐性がない方には間違いなくお勧めできない。子供や老人もバンバン死んでいくし、とにかく死体が転がり込むスピード感が半端じゃない。が、そのグロさ全開の前半部を通り過ぎてみると、この世界観が不思議と癖になっていくのも事実。バイオレンスアクションは一級品だし、気付けばゾンビ同士の激突劇に視線を釘付けにされてしまった。

主演のマーティン役のヴェガール・ホールは前作からの続投だが、基本的にジャージ姿で血みどろという酷すぎるビジュアル。失うものは何もない状態で突撃する後半部では、ソビエトゾンビを率いて勇猛果敢な姿を見せてくれる。グレン役のスティッグ・フローデ・ヘンリクセンは脚本家としてもクレジットされているため、所謂内輪キャストだろう。アメリカからの協力者たちは主にコメディ要素を担当。実際、ダニエル役のマーティン・スターはコメディ映画への出演が多いため、役のイメージにもピッタリとハマったナード具合を醸し出していた。

序盤は『これは最後まで観るのはキツいか、、?』と思わせるほどのドライブ感をキメてくるため、そこまでグロ耐性があるわけではない自分は怒涛のウィルコラワールドに押されまくり。が、この世界観に無理矢理適応させられた結果、いつの間にやらそのワールドの虜になってしまっていた。前半はとにかくグロ全開。反撃に転じる後半は迫力満点のアクションシーンと闊歩する戦車のおかげで、見どころ満載のエンタメ祭りが炸裂しまくっている。そう、見終わった後の余韻はシンプルに楽しかった。明らかに大衆向けではないけれど、いつしかこの続きを是非とも観たいと願っていた自分がいたのでした。

〜あとがき〜

やりたい放題のバイオレンスウィルコラ祭りが炸裂するゾンビ戦争映画ですが、これはさすがに初めての体験でしたね。内臓飛び出しまくり、脳漿飛び出しまくりで、もう前半がヤバいヤバい。映画館で観なくてよかったと思っていたのですが、、観終わったら映画館で観ればよかった、、!と思っていたんですよね。奇妙で狂っていて、不思議なほど中毒性のある映画です。

最近は北欧から飛び出してしまっているウィルコラですが、またノルウェーに戻ってカルトな映画を撮ってほしいですね。今作を観ると『カメラを止めるな!』みたいな現場を想像してしまいます。ちょい役?と思っていた手下ゾンビをあそこまで使い倒すとは。ゾンビ映画なのにゾンビが妙に人間臭い映画でしたね。
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