ありきたりの感想をするのであれば、真贋を得意とするスペシャリストが嘘の策略の愛に気付けなかった、それが悲しい物語。
得意げに語った「「どの贋作の中にも本物が隠されている」が痛烈なカウンターとして襲いかかる。オートマタが正しく回答した、という点を踏まえると、あの場でああいうのがこの上なく正解なんだろうとも思う。
ナイト&デイで虚しく一人で食事するシーンは喪失感を強く感じさせながらも、それに縋るしかないほど精神的に参っている、正常な判断ができない、いや正常な判断をした結果がああいう行動なのだと思う。
彼は真贋の鑑定に必要な要素はいくらでもあったのに、怠った。
話自体は予想がついてしまうし、特にそれ以外の描写であっと思わせるものもなかったので3.5とした。