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ボッカチオ'70のKientopp552のレビュー・感想・評価

ボッカチオ'70(1962年製作の映画)
4.0
 題名の中にある「ボッカチオ」は、14世紀イタリアの小説家であり、例の有名な『デカメロン(十日物語)』の作者である。散文文学作品『デカメロン』は、フィレンツェに発生したペストを避けて、その郊外に逃れてきた、男三人、女七人の計十人が、退屈しのぎに、一人が十話ずつ話しをするという趣向で、結局、合計で百のエピソードが語られる。その話しの内容は、滑稽で、艶笑の混じった、恋愛の成功談や失敗談である。こうして、ボッカチオは、14世紀イタリアの人間生活の在り様を、人文主義の観点から活写したのであったが、映画『Boccaccio '70』を発案したCesare Zavattini(チェザーレ・ザヴァティーニ)は、それでは、ボッカチオが、ほぼ600年後の1970年に生きていて、この時代のイタリア人の愛、恋愛、性を描いたらどうなるであろうかというアイディアを出してきたのである。しかも、本作の制作年が1961/62年であるから、将来を見据えての映画プロジェクトのストーリー化である。
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