カタパルトスープレックス

セインツ -約束の果て-のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)
3.8
自然とアウトローを題材にして描くことの多いデヴィッド・ロウリー監督の長編二作目にして出世作です。

デヴィッド・ロウリー監督とても器用な人で本作のようなニューシネマも『ピートと秘密の友達』(2016年)のようなファミリー向けのディズニー映画も、アーサー王伝説を題材にした『グリーン・ナイト』(2021年)のようなファンタジーも撮れてしまう。それでいて自然とアウトローという一貫性も持っている。

本作の舞台もテキサスで自然が大きくフィーチャーされています。登場人物もボニーとクライドのような犯罪者カップル。アウトローです。

デヴィッド・ロウリー監督は編集に長けた監督で必要最低限な情報に削ぎ落としていきます。主人公のボブ(ケイシー・アフレック)がなぜ犯罪に手を染めるようになったのか、ルース(ルーニー・マーラ)はどのようにしてボブと出会い愛し合うようになったのか。ボブの親分にあたるスケリット(キース・キャラダイン)とボブ、ルースとの関係は?そういう細かなディテールは削ぎ落とされ、観客は文脈を読み想像することを求められます。ギリギリまで削ぎ落としているので、とてもテンポがいい。

また、独自のオフビート感もデヴィッド・ロウリー監督の魅力の一つだと思います。しかし、カタルシスはない。大きく盛り上がる部分がない。ここが好みの分かれる部分だと思います。ボクもそうなんですが、物足りなさを感じてしまう人はいるかと。