ハル

神様のカルテ2のハルのレビュー・感想・評価

神様のカルテ2(2013年製作の映画)
3.8
栗原が怒りと共に発した経営陣に対する辛辣な一言
「医師の話ではない人間の話をしているのだ!!」
これが全てを表していて現場の声なのだと思った。
そんな印象に強く残るセリフも出てくる劇場版第二作。

同期の医師、進藤(藤原竜也)が来ることで栗原(櫻井翔)にも影響があり、一悶着を起こしつつ他の面子を巻き込んでいく立ち上がり。
話の流れも世界観も引き継いでいる。

相変わらずのメンバー達とタフな現場で戦う姿が印象的だが、最もフォーカスされているのは
『医療従事者の労働の在り方』

エッセンシャルワーカーの労働時間の問題は度々話題に上る事柄であり、法改正もされるほどの深刻な課題。
そこを真正面に据えて、話が展開されていく。
ある種法外な概念の中で働いている過酷な現実が前作以上に掘り下げられていて、辛かった😢

けれど違和感を強く感じる部分も…
その最たるシーンは定時帰りを繰り返す進藤に対して、スタッフが憤りをぶつける場面。

人の命を救う医者は患者に寄り添って不安を取り除くのが役目だというのはわかる。
けれど、本来の勤務時間以外までもそれを強要するのはどうなのだろう?
あくまで仕事としてやっている医師もいるわけで、命に関わる仕事だから『クオリティ・オブ・ライフ』や『』ワーク・ライフ・バランス』を無視して仕事に専念しろよ!!って感覚は相当危うい。
この作品公開時点でまだコロナは発生しておらず、その後がっつり周知され見直されてきた問題だからこそ、長時間労働を良しとする間違った考え方が劇中を支配していた。

逆に言うとこれが当たり前だったわけで、そう思うと心底怖い部分。
側面を垣間見てしまうと、エッセンシャルワーカーの人材不足も頷けてしまう…
進藤が定時帰りを徹底するのにもきちんとした訳があり、前例踏襲主義の影響で責められ続ける始末。
何だか可愛そうだった。
☕を頭からぶっかけられるし…

そういった一部を除けば他は素晴らしく、骨太な医療作品。
根底にある人間関係の大切さも色濃く描かれている。
ほろりとさせられるシーンや思わず感動してしまうシーンがいくつもあり、前作に引き続き良作だと思えた。
何より今作はエンディングが秀逸。
栗原が奥さんと子供を迎えに走り出す最後の表情。
あれこそ我が子との初対面が待ち切れない、リアルな父親の顔つきだよね。
その笑顔を見ていると、何だかこちらまで癒やされてしまう。

そして、今作も付け足しますが宮崎あおいはとにかく可愛いです🥰
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