ハル

無名のハルのレビュー・感想・評価

無名(2023年製作の映画)
3.4
日本で劇場公開している中では珍しい、中国の歴史系ノワール作品。
中国共産党や戦争末期の日本を絡めながら話が進んでいく。
政治的なパートが大部分を占めるため、兎にも角にも、重苦しい…
捕虜、奴隷、スパイのワードが飛び交い、淡々と人が殺されていく。

“派手にやり合う”シーンは少なく、静か過ぎる作品だが、そんな中でも見どころはあって、終盤に二人が殺し合う場面は圧巻。
ノワール系のアクションといえば韓国作品が思い浮かぶが、なかなかどうして中国も負けてない。
寸止めではなく、実際に当てているシーンも多く、「これ、現場では生傷が絶えなかったのでは…」と、凄味に圧倒されてしまう。
実際に当てると吹っ飛び方も違うし、身体が反動でブレるなど、リアルだ。
息を呑むほどの命の奪い合い、プレッシャーがスクリーンからヒシヒシと伝わってきた。

全体を通して、そもそもの話が難しく、騙しあい馬鹿しあいの流れなので、完全に理解するまでには至らず…ただ、スパイという人生の終着点の虚しさや“擬態”して生きていく悲惨さを痛感。
命令とはいえ、全てを捨てて生きていく道に幸せは訪れるのだろうか。

今作、実は元々鑑賞予定ではなかったけれど、その時遊んでいた方が行くということで、そのまま一緒に便乗した形。
僕としては珍しい飛び入り参加。
新たな発見もあり、普段見ないジャンルにチャレンジしてみるのもたまには良いもんだなぁと思いました。
ハル

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