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はじまりのみちのktyのレビュー・感想・評価

はじまりのみち(2013年製作の映画)
4.3
戦時中、昭和の名匠木下恵介監督の自叙伝。
監督を演じる加瀬亮の東京弁と、兄役のユースケ・サンタマリアの自然な静岡弁、兄弟が世話をする母親役の田中裕子の佇まいもいい。

大杉漣、濱田岳、光石研、濱田マリ、役者の選択が絶妙で、庶民の助け合いの精神が味わい深い。現代の殺伐とした日常と比べると、おおらかな心のゆとりを感じる。戦前の教育の影響だろうか?

静岡の山間の環境音と控えめな劇伴、時代劇が似合いそうな深い緑の山道や、見かけなくなった古い日本家屋。時折挿入される自然のカットがいい。観客に考える余地を与えてくれる。

劇中映画『陸軍』で出兵する息子を見送る母親
と行進する息子のシーン。先人の犠牲の上に私達の平和が築かれていると思うと胸が締め付けられる。先人への感謝の気持ちがあるから、国のために命を捧げるという価値観は尊い。

物資的な豊かさの代償として失った様々なもの、とりわけ精神性が、本作に表現されている気がする。

木下恵介監督作品に触れたくなった。☺️

プロジェクトアドバイザー山田太一😆
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