「6年間育ててきた息子は他人の子でした」
まだ学生だった頃、テレビで再放送されていたのを見た記憶がありました。でも細かい内容が思い出せず、改めて観直してみました。
改めて…こんな事絶対にあってはいけない…。
この2家族は何も悪くないのに…。
父、母、息子たち、そしてその兄弟、叔父叔母、皆が可哀想で悲しかったです。
事の発端は、当時看護婦として働いていた女性の仕業でした。自分の私情で、幸せな家庭を勝手に恨み、わざと子供を取り替えるという犯行に及んだのです。
ある日突然、それぞれの息子が6歳になってからこの事実を知らされました。
病院側は「とにかくこういうケースは最終的に100%が、ご両親が交換という選択肢を選びます。お子さんの将来を考えたら決断が早い方がいいと思います。できれば小学校に上がる前に」と、誤りの言葉もなく信じられない対応。自分達が世に責められるのを恐れて、早く解決させて一刻も早く解放されたいかのように、二家族を呼びつけて足早にそう言いました。
「突然そんな事言われても…」
「4月ってもう半年もないじゃないですか」
と両方の母親が声を荒らげる。
「犬や猫じゃないんだから…」ボソッと言った気の抜けた片方の父親。「犬や猫でも無理ですよ!!!!」と怒鳴るもう片方の母親。 その通りです。一緒に過ごしてきた6年間、人間だろうと動物だろうと他人の力だけで離れせられるものではないです…。
全く生活基準が違う二家族。
野々宮家→父、母、慶多の3人暮らし。
一流企業の父。ピアノを習いエリート一家の息子。
斎木家→父、母、琉晴、弟、妹の5人暮らし。
電気屋の父。お金に余裕は無いけれどとにかく仲良く明るい家族。
慶多ママ「けいた、2人でどっか行っちゃおうか...」
慶多「パパは?」
慶多ママ「パパはお仕事あるから。」
慶多の父親はいつも仕事でほとんど家に居なかった。この件で、それが余計に母親を孤独にし、苦しめる。
琉晴パパ「俺は慶多の顔を見て、琉晴って名前付けたんだもんなぁ。どう見ても、もう…慶多って顔だもんなぁ…」というセリフも、哀しかった。
それぞれの両親が、何度も会食を重ね
とてつもなく決断に苦しみます。
週に1度息子たちを交換するなど色々試みて、
ついに正式に息子を交換して生活していくことが決まりました。
それぞれの新しい生活が始まります。
最初はもちろん上手くいかず、ギクシャクだらけです。
しかし時間が経つに連れ、新しい家族になりつつありました。
綺麗な高級マンション、無駄な物も一切なく、上品で綺麗だった野々宮家。慶多と暮らしていたときは、子どもらしいおもちゃは特になく、高価そうな木のおもちゃやピアノくらいでした。
それが気づけば、琉晴好みの銃や武器などのおもちゃで溢れかえっていて、家の中に大きなテントを立てたり、今までじゃ考えられないくらいに家がりゅうせい色に染まっていました。
とにかく琉晴に、新しい「お父さんお母さん」を認めて貰えるように毎日楽しませる。笑顔いっぱい楽しませる。
それでも夜、裏では母は泣いていた。
「だんだん琉晴が可愛くなってきた。でも慶多に申し訳なくて、あの子を裏切ってるみたいで。慶多も今頃……」
「今日からオジサン達のことをお父さんお母さんと呼びなさい」と言われて過ごしてきた琉晴。
ある日の夜、そんなお父さんお母さんと川の字で寝ているとき。流れ星を見て、琉晴が願い事を唱えます。
「パパママの場所に戻りたい。(お父さんお母さん)ごめんなさい」
新しいお父さんお母さんの元で楽しそうに笑って過ごしていたけど、やっぱりママパパが忘れられなかった琉晴。
そうですよね。当たり前です…。泣
特に琉晴は、きょうだいと離れて、余計に心細いに決まっています…。下町で暮らしていた時とは環境も違いすぎます。
慶多も、習い事のピアノを辞めて、急に出来た弟と妹。今までのお家の半分以下の狭いお風呂。1人で入っていたお風呂、新しいお家ではギューギュー詰めで皆で入る。
まだ6歳で、急に家族が入れ替えられるなんて…
両親ももちろんとてつもなく辛いけれど、
子ども達が本当に可哀想で、息子たちの表情が見るに堪えなかったです。
野々宮パパ、慶多と暮らしていた時のカメラのフォルダを不意に遡りました。
慶多との写真。そして、慶多が撮ってくれていたいっぱいのパパの写真。撮られていたこと、初めて知りました。きっと仕事であまり家にいなかったパパ、大好きなパパを少しでも近くに感じたかった、寂しかった当時の啓太の思い。
その写真たちを見て、初めてパパが泣きます。
「慶多が強くなるためのミッションだ!!
新しいパパとママの所へ行って生活するんだ、ここへはもう戻ってこないんだ。」と約束をして慶多を離しました。
が………、居ても経ってもいられず、慶多の元へ会いに行きます。
久しぶりにみたパパとママ。
走って家を飛び出す慶多。本気で走れば追いつくものの、ある程度の距離をとって追いかけ、遠くから声をかけるパパ。
パパ 「慶多ごめんな、パパ慶多に会いたくなっちゃって、約束破って逢いに来ちゃった」
慶多 「パパなんかぱぱじゃない」
パパ 「そうだよね、でもな6年間はパパだったんだ。出来損ないだけどパパだったんだよ」
「写真いっぱい撮ってくれてたんだな。」そこから慶多をゆっくり追いかけながら、色んな話をします。
そして、「もうミッションなんか終わりだ!」
と言って、慶多に追いつき頭を撫でて抱きしめました…。
そして映画は終わります。
結末はどうなったかは分かりません…。
やっぱり、交換なんて辞めにして育て親のパパママの元へ戻ったのかもしれないし、
やっぱり、本当の血の繋がった両親の元での生活が始まったのかもしれません。
もし自分だったら……と考えた時に、
私は、親の立場でも子供の立場でも、
「血」よりも「時間」だと思いました。
お父さんお母さんだと思って過ごしてきた0歳から6歳までの6年間。
そして、息子だと思って育ててきた6年間。
きっと自分だったら離れられないです…。
離れたくないし、離れていって欲しくない…。
これでもし、慶多、琉晴、二人がそれぞれ、
血の繋がった親ではなく、
0歳からずっと親として育ててきてくれた育て親の方へ戻って生活をしたとしたら、
いつか大人になった時、きっと、これで良かったんだと思ってくれるんじゃないかなと、私は思いました。
でも、何が正解かなんて本当に分かりません…
凄く考えさせられたし、色んな感情が生まれました(T_T)
見たことない方はぜひ、お勧めしたいです。
「そして父になる」
仕事ばかり優先して、家庭の時間を全然作らなかった父が、妻ばかりに任せていた父が、子供からの愛に気づけなかった父が、だんだん変わっていきます。
福山雅治演じる野々宮パパ目線での話です。
父親の苦悩や葛藤…
自分を見直すチャンスを与えてくれる、そんな映画です!!