しろくま

シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~のしろくまのレビュー・感想・評価

3.6
《まさか信じられない》
〝このスープの味は、1996年に私が考案したヒメジと栗南瓜のスープのあの味そのものだ。これは凄い。野菜の配分もスパイスの量も全て完璧だ。誰が作ったの?〟〝あのペンキ塗りだよ〟

パリの高級フレンチレストラン〝カルゴ・ラガルゴ〟の料理長アレクサンドル(ジャン・レノ)は、長年三ツ星を守り抜いてきた凄腕シェフだが、最近はスランプ気味で新作のメニューも思い浮かばず…。そんな時に出会ったのが老人ホームのペンキ塗りのジャッキー(カミエル・ユーン)。彼は調味料の微細な配分まで分かる天才的な舌を持っているのだけど、生意気な性格のせいで、いくつものレストランをクビになってきた困ったちゃん。そんな二人が力を合わせて、三ツ星獲得をかけて新メニュー作りに励むのだけど…。

本作は、飲食業界のお仕事バトルムービーだけど、どっちかというと私生活の方が絶体絶命って感じで、どうやって家族と関係を修復させていくのかが見どころ。もちろん、出てくる料理は三ツ星レストランだけあってどれも美味しそう。ただ、分子料理なる料理を調査員が好んでいるという情報を得てからは、料理なのか実験なのか分からない妙な展開に。更にフランス映画ではよくある謎の日本文化には失笑するしかないね。

〝レオン〟で精悍な殺し屋だったジャン・レノもいつの間にか料理長が似合う貫禄あるオッサンに。もともとは客に美味しく食べてもらうことに喜びを感じていた筈なのに、三ツ星を取ることが目的なってしまっていることに気づき…。

カミエル・ユーンが、料理に使われている食材や調味料を言い当てることができるのは、現在放送中のドラマ〝あたりのキッチン〟の辺清美(桜田ひより)と同じ〝絶対味覚〟の持ち主ってことね。そんな〝絶対味覚〟のカミエル・ユーンが、料理長が作ってるレシピにいちゃもんをつけながら調理をする〝3分クッキング〟って今までにないパターンだけど、それはそれでアリかもね。それに、老人ホームの料理が三ツ星レストランレべルっていうのもいいね。口コミで入居希望者が殺到すれば、新たなビジネスが展開できそう。

視聴メモ:2023.12.21/185/図書館DVD
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