ミシンそば

ツイステッド・ナーブ 密室の恐怖実験のミシンそばのレビュー・感想・評価

3.8
題材はハッキリ言って今の時代に即してないにもほどがある。
当時としてもデリケートな題材だったのか、「ダウン症と精神異常は関係ないですよ」と日和った予防線は張りまくっているが、これは偏見を助長してもおかしくない映画ですわ。
要は精神薄弱を偽って人の善意につけ込み、ムカつく継父を殺すアリバイにしようと利用するお話なんだから。

題材の問題は置いといて、サスペンスとしては正直言ってかなり出来がいいと思う。
ここら辺はベテラン中のベテランなボールディングの手腕が光った感じだろう。
バーナード・ハーマンの口笛BGMも抜群に不気味で作品に非常に嵌っていた。

詐病ではあるが、それはそれとして精神構造に複雑な問題があるマーティンの人物像をハイウェル・ベネットは見事なまでに気色悪く出力できていたし、元子役のヘイリー・ミルズも彼を受け入れる優しい女子大生を演じている(この二人、実はファミリー映画でもW主演で共演していたことを後で調べて驚いた)。

ミルズも、彼女の母親役のホワイトロー(まだ若く肉欲を持て余し気味な役柄。ハッキリ言ってエロババア(まだ三十路))も好演なんだが、狡猾・幼稚・短絡的、それら全てを遺憾なく演じたベネットの演技がこの映画一番のMVPだろう。
You Tubeの「Perfect things」って動画シリーズとか、昔に観た口笛BGMにヒッチコックの「鳥」の映像を被せたMAD動画とかから、その元ネタたるこの映画の存在を知って、興味を持ってたんだけど、今日ようやく観て凄まじいと感じたよ。