マヒロ

マルコムXのマヒロのレビュー・感想・評価

マルコムX(1992年製作の映画)
4.0
(2024.11)
公民権運動において指導者として絶大な影響力を持ったマルコムXの半生を描いた作品。

スパイク・リー監督キモ入りの映画という感じで、ランタイム200分超えという凄まじい気合の入りよう。主演のデンゼル・ワシントンも堂々たる風格でカリスマを演じ切っており、二人の熱量が全編に亘って迸るようなアツい作品に仕上がっていた。

公民権運動に関する映画は何本か見てきて、マルコムXについても当然描写はされていたので何となく知った気にはなっていたが、それでも初めて知る事実ばかりだった。
刑務所の中で誘われたことからイスラム系から派生したブラック・ムスリの宗教“ネーション・オブ・イスラム”を信奉し始め、町のチンピラだったマルコムも宗教という心の拠り所を得ることで改心し勉強を始め、出所後に活動家としての道を歩み始めるキッカケになる。しかし、後に仲違いしたことが暗殺に繋がってしまうというあたり、良くも悪くも彼の人生を大きく変えてしまう決断だったんだなと思うと複雑な気持ち。黒人と白人の分断を主張するような過激派なイメージもあったが、晩年はキング牧師始めとした穏健派と合流しようとしていたりと、割と柔軟な考えの人だったんだなというのも結構意外だった。

200分越えというなかなかのボリュームではあるが、小気味良いテンポでバシバシ進んでいくのでそこまで長さは感じなかった。必要以上にマルコムに肩入れすることもなく、悪いことは悪いという立ち位置にいるバランス感覚も伝記映画としては完璧。スパイク・リー作品は結構主張が強いイメージがあったが、あえて極端に踏み込まないようにしてるように見えるのはリスペクトが故なのかも。
とにかく長いということがネックになってしまうが、代表作である『ドゥ・ザ・ライトシング』とか『ブラック・クランズマン』なんかよりもシンプルで見やすい話なので、実はスパイクリー入門編としてはピッタリの作品なんじゃないかな。
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