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“教授”と呼ばれた男のtetsuのレビュー・感想・評価

“教授”と呼ばれた男(1986年製作の映画)
3.6
『海の上のピアニスト』リバイバル上映で、監督の作品が気になったので、過去作の一気見鑑賞を敢行。


[あらすじ]

殺人を犯し、10年間、監獄生活を送ってきた"教授"と呼ばれる男。
刑務所の中で、ある企てを思いついた彼は……。


[感想]

『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュセッペ・トルナトーレ監督、幻の長編映画デビュー作。

1作目から、やすやすと2時間30分超えという熱量には驚愕したw
(その結果、字幕翻訳が3人いるという、稀な作品にもなっている。)

長尺というのにも関わらず、冒頭10分間で数十年が経ってしまうという謎の手際の良さ。

また、そのシーンにおける、同じセリフや動作が数十年を繋ぐ演出など、技巧的な部分も興味深かった。


[トルナトーレ版『ゴッドファーザー』]

刑務所に収監されるオープニングから、『大脱走』や『ショーシャンクの空に』のような脱獄ものを予想すると、思いもよらぬ展開へ。

蓋を開けてみると、まさしく、その内容はトルナトーレ版『ゴッドファーザー』といえるもの。

淡々と進むストーリー、蜂の巣にされる車体、車の大爆発、ダイジェストで見せる組織の犯行シーン、洗礼の儀式、さらには、コーサ・ノストラ(『ゴッドファーザー』の元ネタになった実在のマフィア組織)への言及まで。

原作小説があるとはいえ、その作風には、数十年前に公開された『ゴッドファーザー』からの影響と、監督の「自分の手で『ゴッドファーザー』をやりたい!」という強い熱意を感じられた。


[終わりに]

アルフレードという名前が登場し、男の半生を描き、何かしらが欠けている人物描写をしていたり、『ニュー・シネマ・パラダイス』の原点も感じられる本作。

長尺ゆえ、多くの人にはオススメしませんが、『ゴッドファーザー』好きには、強くオススメしたいマフィア映画の小品でした。
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