イチロヲ

恥じらい姉妹 ナイショの官能小説のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
作家活動を続けている中年姉妹が、自著に刺激的な性描写を盛り込むべく、過去の豪奢な男性遍歴を顧みていく。デンマーク産のエロティック・コメディ。濡れ場では本番行為をしている。

現代パートと過去パートを往来させながら、ショートショート形式で艶笑劇を綴っていく。ヴェルナー・ヘドマン監督の懐古主義が炸裂しており、本編内容は「動く春画」そのもの。何台ものベンツ・ヴィクトリアが走行するシーンが密かな見どころ。

主人公姉妹は、今やフツーのオバちゃんに過ぎないため、昔のように蠱惑的な容姿で人を魅了することは不可能となっている。だが、過去の官能体験を著すことにより、読み手の欲動を突き動かすことができるため、そこが現在の持ち味となっている。

後半部に入ると、姉妹が甥の名前を借りて出版したことが発端となり、ドタバタ喜劇へと発展。姉妹が現代の若者の恋路に棹さす存在となり、暗中飛躍していく。世代を超えた性観念の伝播に、感慨もひとしお。
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