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歓喜に向ってのleylaのレビュー・感想・評価

歓喜に向って(1950年製作の映画)
3.7
主人公のバイオリニストが、妻の死の知らせを受ける冒頭。そこから7年間の妻との出来事を回想する。妻の出産、ソロバイオリニストとしての失敗、不倫関係、離婚の危機などを経て夫婦関係を取り戻すまで。主人公に監督自身を重ねているのだろう。

ラストに、ベートーヴェンの「歓喜の歌」を演奏する前に指揮者が言う。「歓喜の歌」は幸せを歌った歌ではない。苦しみと果てしのない絶望を超越した人間の理解の及ばない世界なのだ…と。人生どんな苦難があろうともそれを超えていかねばならない。そんなことを「歓喜の歌」で伝えたかったのかとも思いました。

『野いちご』で主演のヴィクトル・シェストレムが指揮者役なのが感慨深いです。シェストレムはベルイマンが影響を受けた『霊魂の不滅』の監督でもあり、ベルイマンにとっては幸せな撮影だったのではないかな。

✴︎genarowlandsさん、ありがとうございました✴︎
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