真っ黒こげ太郎

シアター 殺戮劇場の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

シアター 殺戮劇場(2001年製作の映画)
4.2
今日の主役はアナタ自身、演目は殺人ゲーム、時間は100分、面白いかどうかは

 貴 方 の 断 末 魔 次 第 な の で す … 。




「スクリーム」の深夜上映が行われている映画館。
チンピラ2人組やヘタレ警官、謎の女や眼光の鋭い男、おちゃらけ&ヘタレのカップルやインテリ&OLの不仲カップル等、様々な観客が集まる。

映画が始まるや否や、劇場主「エックス」なる人物による謎の警告文が流れる。
「映画の上映時間は100分です、その間に私は皆さんを殺します」
「劇場は閉鎖され、電話もつながりません」
「映画が終わるまでに生き残った一人だけが帰れます」

観客は全く気にする事無く映画を見始めるが、トイレに行った客の一人が謎の黒衣の人物に殺される!!!
閉鎖された映画館に、3人の映画館のスタッフが黒衣の殺人鬼として解き放たれたのだ!!!




閉鎖された映画館を舞台に、殺人鬼達の殺戮劇が繰り広げられる、韓国産のデスゲーム風スラッシャー・ホラー。

韓国の血生臭い映画と聞くと、刑事サスペンスやバイオレンスなノワール物を彷彿とさせますが、今作は韓国映画にしては珍しく、閉鎖された建物内を舞台に殺人鬼が殺しを繰り広げる系のアレですね。

映画館に閉じ込められ、殺戮に気づいた人々が脱出の為にすったもんだし、生き残り同士で揉め、殺人鬼から逃げ回り…という王道展開。
その一方で、事件の首謀者がモニター越しに参加者達の動向を監視したり、殺人鬼側が複数いたり、知的障害の観客を殺人鬼側が引き込んで殺人鬼側が増えたりと、デスゲーム系の要素もあります。


登場人物は皆、”マジンガー”だの”サシミ”だの、”インテリ”だの”モダン女”だの”秘密女”だの”疑惑男”だの”ショーガール”だのといった、異様にふざけた名前だらけ!!!w
ただ、ふざけた名前の連中ではあるがキャラ描写はベタで、武闘派の不良だったり、嫌味なインテリ野郎だったりしてそれなりに個性が立っているので、誰が誰か分かりやすいのは素直に良ポイント。
生き残り展開に関しては武道派なのが一人しか居ないので(爆)誰が生き残るかはすぐ分かってしまうが、その武道派のお陰で複数人要る殺人鬼側も景気良く死ぬのは良き。w

残酷描写はかなりグログロの血まみれっぷりで、今昨今の残酷ホラーと比べても見劣りしないクオリティ。
喉を蛍光灯で刺すわ、爪を引っこ抜くわ、口内突き刺しを口内側で見せるわ、腸がデロンと流れ出るわ、切断描写や切り株をしっかり映すわで、グロさも痛々しさも満点な出来。
殺され役は多いし、死に様のレパートリーも豊富。殺人鬼側も複数居て生き残りの反撃で死にまくるのでボディカウント数も多い。
(心臓麻痺でショック死するヤツも居る。w)
ラストの黒幕にトドメを刺してからの有言実行っぷりもワロタ。w


そんな感じで、血みどろ映画しては見どころが多く楽しいタイプの映画なのだが…。
何と言うか、全体的にノリが軽くて、ふざけすぎている感がある。

というのも、本作は妙にコメディチックな演出が多く、BGMもリミックス感満点なノリノリな曲が流れている。
冒頭から不気味な曲かと思わせてやたらノリの良いテーマ曲が掛かったり、殺人鬼から逃げたりする場面とかでは妙にポップなBGMが掛かったりと、何故かBGMがポップな曲調の物が多し。
オゥオッ♪オッオッオオッオッ♪オッオオッオオーマイガー♪

また、演出もかなり悪ノリしており、わざわざビンタする場面で何度も編集でビンタさせたり、殺人シーンではわざわざリプレイして見せてたり(これは良かった)、殺人鬼と殴り合う緊迫の場面ではやたら変なエフェクトや早回しが掛かったりと変に目立つ演出のオンパレード!!!

クライマックスでは殺人鬼と生き残りが殴り合う展開になるのだが、何故かノリノリBGMの中で上部にライフバーや制限時間が描かれた、格闘ゲームチックなノリに。
どうしてこうなった!?w

そして何といってもラストのオチ!!
一気に脱力する○○○オチ!!!と思わせておいての最後!!!
なんだこりゃ!?!?


って事で、気合の入った残酷描写は見ごたえあるし、殺され役の死に様も豊富で見どころ満載、グロゴアスプラッター映画としては十分見ごたえのある部類だ。
だが、編集やBGM等あちこちに流れる悪ノリによって、今作は結構なヘンテコリン映画と化してしまった!!!
恐らく製作陣もコメディ描写として描いているのは間違いないが、今作の場合は悪ノリが激しすぎて、作品自体が悪ノリの塊と化してしまった感は否めないだろう。

でもまぁ、こういう珍品は俺は結構好きですよ。
スプラッターな見どころは満載だし、ここまで悪ノリを貫いてはっちゃけた作品も中々無いしね。w
真面目なホラー映画をお求めな人にはお勧めはしませんが、ヘンテコ映画や珍品をお求めの際にはあまり期待しないでどうぞ。

因みに本作、本場韓国だと20分カット版のVHSしか出ておらず、ノーカット版のDVD版は日本でしか見れないそうで。
何処の国にも、そういう問題はあるんだなぁ。